脳波ブログ
脳波計研究者が脳波測定の最新情報や脳波に関する知見をお伝えしていきます

刺激前の状態を揃える(対策前)

これは、よく起こしがちな実験の失敗例です。被験者に無臭・アロマ1・アロマ2・アロマ3・タバコ臭の順に匂ってもらった時のアルファ波の出現率なのですが、後ろに行くに従って出現率が上がっています。原因はそれぞれの刺激の前の状態が変わって行っているからです。アロマ2を匂う前はアロマ1でリラックスした状態であり、アロマ3を匂う前ではアロマ1と2の効果が積み上がった状態であり、嫌な臭いであろうタバコ臭を匂う前には完全に覚醒度が下がった状態という具合です。このように実験プロトコルを考慮せずに測りっぱなしにすると刺激単体どうしの比較ができません。

この記事の著者

木村 晶朗
株式会社デジタルメディック 代表取締役社長
木村 晶朗
関西学院大学法学部卒業後、ヤマハ発動機、ロームにてプログラム開発等を担当。独立後、ストレス軽減を目的とした「脳波フィードバックシステム」の特許を取得。本特許を事業化すべく経産省、京都府補助事業に採択され京都教育大学 中村道彦教授と6年間の共同研究を行う。その間の実験における被験者数は1,000人以上。システムは完成したがソフトウェアよりもハードウェアが評判を呼んだため脳波計の販売を開始、大手企業や有名大学に500台ほど売れる。ユーザーの実験のサポートも行っているため、経験した実験の種類は100を超える。