脳波ブログ
脳波計研究者が脳波測定の最新情報や脳波に関する知見をお伝えしていきます

視線と焦点の固定

数種類の刺激を受けた時の安静度・緊張度の違いを比較する実験を行う場合(例えばアロマオイルA、B、Cを匂った時のリラックス度の比較実験など)、それぞれの刺激を受けた時に見る物が同じでなければフェアな比較になりません。その対策として「注視点」という十文字マークの中心を見てもらう方法が一般的なのですが、私の経験では、この方法は視線の固定できますが、焦点の固定は難しいです。なぜならば、注視点の中心を超えて焦点を合わせる被験者が多く、その結果まどろんでしまいアルファ波優位となってしまうからです。そこでお薦めなのが下画像のような「車窓から見た風景動画」見てもらう方法です。この動画を流すと見ない方はおらず、焦点も固定されます。「動画による心理的影響は無いか?」と質問を受ける事がありますが、まどろみによる影響よりはるかに小さいと思われます。

この記事の著者

木村 晶朗
株式会社デジタルメディック 代表取締役社長
木村 晶朗
関西学院大学法学部卒業後、ヤマハ発動機、ロームにてプログラム開発等を担当。独立後、ストレス軽減を目的とした「脳波フィードバックシステム」の特許を取得。本特許を事業化すべく経産省、京都府補助事業に採択され京都教育大学 中村道彦教授と6年間の共同研究を行う。その間の実験における被験者数は1,000人以上。システムは完成したがソフトウェアよりもハードウェアが評判を呼んだため脳波計の販売を開始、大手企業や有名大学に500台ほど売れる。ユーザーの実験のサポートも行っているため、経験した実験の種類は100を超える。